複雑で疑問だらけ!自動車保険を分かりやすく解説。 意外と知らない補償内容の説明。種類が多い特約の選び方。

自動車を運転するということは、いつ加害者になるかまたは被害者になるか分からない状況です。

そんな、もしもの時に備えておくのが自動車保険です。

自動車保険は年々複雑になっていき、分かりにくい部分が増えています。

ここでは、そんな自動車保険を少しでも理解してもらえるように、基本となる部分を紹介します。

筆者は、自動車ディーラーに長年勤めていた経験があります。

損害保険代理店の損害保険募集人として、実際に保険の募集をしていました。

また、事故の処理を専門にやっていた経験もがあります。

そんな筆者が、これから説明させていただきます。

自動車保険とは

自動車保険には、「強制保険」と「任意保険」の2種類があります。

「強制保険」は自賠責保険のことです。自賠責保険は法律で加入が義務付けられています。

自賠責保険(強制保険)は、被害者救済を目的とした最低限の補償になります。そのため高額な賠償額をまかなうことはできません。

「任意保険」は一般的に自動車保険と呼ばれているもので、加入義務のない保険になります。
※農協や全労済などでは自動車共済と呼ばれています。

自賠責保険(強制保険)ではカバーしきれない損害を補償するのが、自動車保険(任意保険)です。

任意保険(以下「自動車保険」と呼びます)

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自動車保険(任意保険)の種類

自動車保険を細かく分けると、以下のように分類され「基本補償」といわれています。

相手の補償
  • 対人賠償保険
  • 対物賠償保険
自分・搭乗者の補償
  • 搭乗者傷害保険
  • 人身傷害補償保険
  • 自損事故保険
  • 無保険車傷害保険
車の補償
  • 車両保険

基本補償は各社ともに大差はありません。

基本補償に特約をプラスすることで補償内容を充実させます。

この特約により各保険会社で違いが出てきます。

各保険会社は他社との差を付けるために、独自の特約を用意して様々な提案をしてます。

基本補償の補償内容

基本補償といわれる商品の「補償内容」です。

相手の補償
  • 対人賠償保険
    相手方の「人」に対する補償です。交通事故で乗車中の人や、歩行中の人にケガをさせたり、死亡させたりしたときに保険金が支払われます。
  • 対物賠償保険
    相手方の「物」に対する補償です。交通事故で相手の車や電柱、ガードレールなどに損害を与えた場合に保険金が支払われます。
自分・搭乗者の補償
  • 搭乗者傷害保険
    契約の自動車に乗車中の人が、死亡または傷害を負ったときに、定められた金額で保険金が支払われます。
  • 人身傷害補償保険
    自動車事故によって、死亡または傷害を負った場合に、過失割合に関係なく治療費や休業損害、逸失利益などの実際の損害額を保険金として支払われます。
  • 自損事故保険
    契約の自動車に乗車中の人が、電柱に衝突・転落などの単独事故や、相手の過失がゼロである交通事故において、契約の自動車に乗車中の人が、死亡または傷害を負った時に保険金が支払われます。
    ※自動付帯の保険会社が一般的です。
  • 無保険車傷害保険
    保険に加入していない車や、補償内容が不十分な車との事故により、乗車中の人が死亡もしくは後遺障害を負った場合で、相手方に支払能力がない等の十分な補償を受けられない場合に保険金が支払われます。
    ※自動付帯の保険会社が一般的です。
車の補償
  • 車両保険
    契約の車が事故により損害を受けたり、盗難に遭った場合に保険金が支払われます。
    各保険会社によって、補償範囲が異なるので注意が必要です。

「対人賠償保険」「対物賠償保険」「車両保険」「無保険車傷害保険」は、比較的容易に理解できると思います。

ですが「搭乗者傷害保険」「人身傷害補償保険」「自損事故保険」は、補償が重複するところがあるので理解しづらいです。

搭乗者傷害保険・人身傷害補償保険・自損事故保険の違い?

先ほど説明した通り、「搭乗者傷害保険」「人身傷害補償保険」「自損事故保険」は、運転者自身と搭乗者を補償する保険です。

では、もう少し詳しく解説します。

搭乗者傷害保険
  • 保険会社ごとに、あらかじめ定められた「保険金支払額表」により保険金が支払われます。
  • 保険会社がケガの症状を確認できしだい、保険金が即支払われるので、入院費や通院費などを病院に実費で立て替えて支払わなくても良いので安心です。
  • 損害額に対して支払われるものではないので、支払われた保険金だけでは足りない場合もあります。
人身傷害補償保険
  • 自動車事故(搭乗中・歩行中)死傷した時の補償です。責任割合(過失割合)にかかわらず、実際の損害額を保険金として支払われます。
  • 損害額が確定しないと保険金は支払われない
  • 実際にかかった損害額が支払われる。契約の保険金額にもよるが自己負担がほとんどない。
自損事故保険
  • 単独事故や、相手に過失のない事故によって死傷した場合に自賠責保険から補償を受けることができない場合に支払われます。
  • 損害額が確定しないと保険金は支払われない。
  • 自損事故保険は保険会社にもよるが人身傷害補償保険で補償される場合が多い。

自損事故保険については、ほとんどの保険会社が自動付帯にしています。これによって保険料が高くなることはありません。つけるか?つけないか?を悩まなくても大丈夫です。

搭乗者傷害保険と人身傷害補償保険はどちらも付けるべき?

・搭乗者傷害保険の場合は、先ほど説明したようにあらかじめ定められた「保険金支払額表」により保険金が支払われるので、症状によっては保険金では足りなくて実費負担が発生する場合もあります

実費負担しても良いのであれば、搭乗者傷害保険だけの加入のほうが保険料を抑えることが出来ます。

・人身傷害補償保険の場合は、先ほど説明したように全額補償してくれるので実費負担は発生しません

しかし、損害額が確定しないことには保険金が支払われないので、それまでは自分で立て替えをしないといけません。病院に支払った分は後で返ってきますが、それまでは自分で支払わないといけません。

・もしものことを考えると、保険料は少し高くなりますが搭乗者傷害保険と人身傷害補償保険を2つかけたほうが安心ですね。

特約について

自動車保険には基本補償といわれる「対人賠償保険」「対物賠償保険」「搭乗者傷害保険」「人身傷害補償保険」「自損事故保険」「無保険車傷害保険」「車両保険」に加えて、補償を充実させるための特約があります。

特約は保険会社によってさまざまな種類があり、自動的に付帯になるものと有料のオプションとなるものがあります。

有料のオプションはプラスの費用がかかるので、自分にとって必要な物かを見極める必要があります。

保険会社ごとにたくさんの特約が用意されているので、選ぶのが難しいところです。

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必ず役に立つ特約「厳選5つ」

たくさんの特約があるなかで、筆者がこれは必ず役に立つと判断したものを紹介します。

最初にもお話しさせていただきましたが、筆者は自動車ディーラーに長年勤めていました。

事故の処理を専門にやっていた経験があります。

この特約を「付けていたらよかったのに」という、つらい状況をたくさん見てきました。

そうならない為にも、この特約の部分はしっかりと読んでいただきたいです。

内容を見てご自身に必要かどうかを見極めてみてください。

弁護士特約
  • 自動車事故で相手に損害賠償を請求するために必要な弁護士費用や訴訟費用が支払われます。
  • もらい事故」の場合、自分に賠償義務が生じないので、自分の保険会社は示談交渉してくれません。弁護士特約を付けていない場合は、相手との交渉を自分でするか、高額な費用を支払って弁護士に依頼することになります。
筆者の体験談
  • 「もらい事故」で相手が自動車保険に加入していなかった案件があります。この被害者は弁護士特約を付けていなかったので、相手との交渉を自分で行い、数年にわたって裁判をしていたお客様がいました。
  • 「自動車保険に加入していないなんて」と思うかもしれませんが、経験での話になりますが、相手が外国の方の場合は自動車保険に加入していないことが多かったです。
  • そんな時に備えておくと助かるのが弁護士費用特約です。
対物超過修理費特約
  • 対物賠償保険で補償する事故で、相手の車が時価額を超える修理費用となったときに支払われます。※時価額とは使用期間や経過年数など消耗分を差し引いた額です。
  • 相手方の車が古い年式の場合は「時価額」が低く、修理費用が「時価額」を上回ることがよくあります。
  • 時価額を超えた部分の修理費用は法律上の賠償責任がないので、保険会社は時価額を超えた部分の修理費用は支払ってくれません
筆者の体験談
  • 相手が対物超過修理費用特約に加入していないために、時価額と修理費用の差額を相手から回収することができず、足りない分を実費で支払うことになったり、大きなトラブルになったりと悲惨な状況をたくさん見てきました。
  • 事故の加害者となってしまった場合、相手の車の修理費を補償しなければいけません。
  • 「時価額」の超過分は法律で負担する義務はありませんが、被害者からすれば納得できるものではないでしょう。相手によっては抗議してくることもあるかもしれません。そんな時に対物超過修理費用特約を付けておくと安心です。
車両新価特約
  • 新車で購入された車が全損になった場合、または修理費用が新車価格50%以上となった場合に、新車を購入した時の価格が支払われます。
筆者の体験談
  • 新車納車後1週間で大きな事故を起こしてしまい、120万円の修理費用となりました。この車両新価特約を付けていたおかげで、新たに新車を購入することになったお客様がいました。
  • 筆者の経験上、修理代が100万円を超える事故はよくありました。100万円を超える修理となると骨格が損傷しているために売却した際の買取額が大幅に下がります。乗り続けるにしても大きな修理をした車に乗るのは気分が悪いですよね。
  • 新車購入時は車両保険に加入する方は多いと思います。ただ、車両保険では修理にかかる費用しか補償されません。「新車を購入して間もないのに大破してしまった!」といったときに安心です。
代車費用特約
  • 事故により車を修理または買い替えとなったとき、その間の代車が必要となった場合にレンタカーを手配してくれます。
筆者の体験談
  • ディーラーの代車は数に限りがあります。代車の空きなくて、すぐに修理に取り掛かることが出来ずに1~2週間お待ちしてもらったことがあります。
  • 全損の場合や相手との交渉が難航している場合、やはり数に限りありますので、まずは修理の方を優先して代車を貸していました。そのため全損や交渉が難航している方には、なかなかお貸しすることが出来ませんでした。
  • これは少し裏話です。代車費用特約を付けていない方で、ディーラーなどの修理工場で代車を借りることが出来なかった場合。保険会社から「当社の提携先である修理工場で修理をするなら代車をお貸しします」と言われることがあります。
  • なぜ、保険会社と修理工場が提携しているんでしょう?何か裏がありますね。
  • 保険会社の提携先工場で修理された方からは、あまり良い話を聞かなかったです。仕上がりについてなど…。
  • 代車費用特約に加入していれば、車が修理から戻ってくるまでの間のレンタカー費用を補償してくれます。車がなくては困るという方は加入しておいたほうが安心です。
個人賠償責任特約
  • 被保険者本人とその同居の家族が自動車事故以外の日常生活を送る上で発生した事故によって他人にケガをさせたり、他人のモノに損害を与えたりして損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。
筆者の体験談
  • 契約者のお子様がやってしまったということがほとんどでした。例えばお子様が自転車で他人の車に傷をつけてしまったとか、キャッチボールをしていたら他人の車のガラスを割ってしまったなど、そういった車の修理が月に数件入庫していました。
  • 自転車でぶつかり相手に大怪我を負わせたり、もしくは後遺症を負わせたり、亡くなってしまうことも考えられます。そんなことが起これば、当然高額の損害賠償を求められるでしょう。
  • 日常生活ではどんな事故が起こるかわかりません。そんな時に備えて個人賠償責任特約を付けておくと安心です。

筆者は経験上、ほんとうに沢山のつらい状況を見てきました。

その経験をもとに「厳選5つ」として、おすすめさせていただきました。

ぜひ、ご自身に必要かどうかを見極めてみてください。

自動車保険はどこの会社を選ぶべき?

自動車保険の加入は、大きく分けて2種類あります。代理店を介して加入する「代理店型」、パソコンやスマートフォンなどのインターネットを介して加入する「通販型」です。それぞれにメリット・デメリットがあるのでご説明します。

代理店型自動車保険は、2種類あります。

・保険商品を「兼業」として扱う、自動車ディーラーなどの代理店型自動車保険

・保険商品を「専業」として扱う、保険専門の会社の代理店型自動車保険

通販型自動車保険は、パソコンやスマートフォンを通して「ご自身と保険会社が直接やり取り」をして契約します。

代理店型と通販型どちらを選ぶべき?

代理店型自動車保険と通販型自動車保険、それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。

●代理店型自動車保険のメリット・デメリット

代理店型のメリット
  • 専門の担当者が対面で保険商品の説明してくれる分かりやすい。
  • 自分にあった補償内容を提案してくれるので、知識が少ない場合でも安心です。
  • 事故をした時に代理店の担当者がサポートやアドバイスを行ってくれる。
  • 代理店型自動車保険の多くは国内大手の保険会社との取引があるので安心です。
代理店型のデメリット
  • 通販型自動車保険に比べると保険料が高い。
  • 申し込みをする際には、担当者と対面で行うので店舗に出向く必要がある。

●通販型自動車保険のメリット・デメリット

通販型のメリット
  • 代理店型自動車保険に比べると保険料が安い。
  • 店舗に出向く必要がないので、自分の都合の良い時間に申し込み手続きができる。
  • 自宅にいながら複数の保険会社の見積もりを入手できる。
  • 自分のペースでじっくり保険会社を比較することができる。
通販型のデメリット
  • 補償内容を自分で調べるので、ある程度の保険商品の知識が必要になる。
  • サポートしてくれる担当者がいないので、すべて自分で解決する必要がある。

代理店型自動車保険と通販型自動車保険のメリット・デメリットを確認しました。

ご自身にはどちらのタイプが合いそうですか?

保険料は高くなるが全て任せっきりにしたい方は、代理店型自動車保険がいいですね。

保険の知識あって保険料を安くしたい方は、通販型自動車保険がいいですね。

保険の知識がない場合、または自分一人で決めるのが不安な方は、保険料は高くなりますが代理店型自動車保険が安心ですね。

筆者は通販型自動車保険を2つの方法で実際に見直してみました。

2つの方法とは

①自動車保険一括見積サイトを利用して自分で保険を見直す。

②保険専門店(代理店)で専門の知識を持った担当者に見直してもらう。

筆者の体験談を含めた記事 自動車保険高すぎませんか? こちらも参考にしてしただけると嬉しいです。通販型自動車保険の見直しを考えている方は参考になるかもしれません

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まとめ

自動車保険は専門的な難しい用語がたくさん出てきます。また、「補償の範囲」、「補償の内容」など分かりづらいことがたくさんあります。

自動車保険の全てを理解するのは困難なことだと思います。

筆者の説明やアドバイスが少しでも参考になっていただけると嬉しいです。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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