車のエアコンの仕組み。エアコンガスは減るもの?エアコンから異臭が…。元自動車整備士の豆知識(part 4)

エアコンは冷房と勘違いしている方も多いと思います。

エアコンは「エアコンディショナー」の略であり、空気の温度や湿度を調節するものです。

なので通常エアコンといえば冷房と暖房の両方のことを指しています。

※冷房専用エアコンや暖房専用エアコンも存在します。

車のエアコンは冷房と暖房が出来るエアコンです。

夏は外気が40℃を超える中で車内を快適に冷やしてくれます。

冬は外気が0℃を下回る中で車内を快適に暖めてくれます。

車のエアコンは過酷な状況でも持ち主が快適になるように頑張っています。

もはやエアコン無しでは車の運転は出来ないぐらい重要です。

僕はトヨタのディーラーで自動車整備士としておよそ30年間働いていました。

たくさんのお客様にエアコンの説明をしました。

また、たくさんのエアコンを治してきました。

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エアコンの仕組み

エアコンガスという名前は聞いたことがあると思います。

車にはエアコンガスが入っています。

そしてエンジンの力で動くコンプレッサーがあります。

「コンプレッサー」は、エアコンガスを圧縮します。

そして圧縮されたエアコンガスは、「コンデンサー」で冷やされます。

コンデンサー冷やされたエアコンガスは、液体に変化します。

液体になったエアコンガスを室内の「エバポレーター」で気体に変化させます。

そうすると「気化熱の原理」で周りの温度を下げることができます。

・夏の暑い日に庭先に打ち水をすると涼しくなるのは「気化熱の原理」を利用しています。

・霧吹きで水を吹きかけると涼しくなるのも「気化熱の原理」です。

・注射の前にアルコールで拭くと冷たく感じるのも「気化熱の原理」です。

車のエアコンはこの「気化熱の原理」を利用しています。

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豆知識

ガソリンスタンドなどでエアコンガスの補充を行っていることがあります。

しかし、本来であればエアコンガスが減ることはほとんどありません。

なぜならエアコンガスは密閉された配管の中に存在しているからです。

もしエアコンガスが減っているとしたらそれはガス漏れの故障です。

エアコンガスの補充で済むことではありません。

エアコン強化剤の補充であれば、まだ理解はできますが、エアコンガスの補充は理解し難いです。

エアコン強化剤はコンプレッサーの圧縮効率を高めるものです。

しかし、体感できるほどの効果は期待できないと個人的には思っています。

冷房と暖房の仕組み

●冷房の仕組み

冷房の仕組みは先程の「気化熱の原理」で室内の空気を冷やします。

コンプレッサーでエアコンガスを圧縮します。

圧縮されたエアコンガスをコンデンサーで冷やして液体に変化させます。

その後、室内のエバポレーターで気体に変化させ「気化熱の原理」で室内を冷やします。


暖房の仕組み

車の暖房は家庭用のエアコンと違い独特な方法で空気を暖めます。

車のエンジンは非常に熱くなっています。

熱くなりすぎるとエンジンは壊れてしまうので「冷却水」で冷やされます。

エンジンを冷やした後の「冷却水」は熱くなっています。

その熱くなった冷却水を配管を通して室内に運びます。

そうすることで室内が暖まるのです。

豆知識

夏場にエアコンをつけた時に「異臭」がすることありませんか。

それは先程のイラストにあった「エバポレーター」に原因があります。

エバポレーターは室内の空気を冷やすとともに「除湿」も行っています。

エアコンを使用しているときエバポレーターは空気中の水分で「ベタベタ」になっています。

グラスに冷たい水を入れると、グラスの外側が濡れるのと同じ原理です。

夏場、車の下に水が落ちてくるのはエバポレーターに溜まった水を排出しているからなんです。

湿度がたっぷりのエバポレーターにはカビ雑菌が発生します。

エアコンを使用している間は、水と一緒に外に排出されます。

しかし、車を止めて時間を置くとカビや雑菌がたくさん繁殖します。

それがエアコンを動かしたときの「悪臭」の原因です。

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温度調節の仕組み

冷房と暖房の仕組みは理解できたと思います。

では、温度調節はどうやっているんでしょうか。

答えは「エアコンユニット」の中にあります。

「エアコンユニット」は、イラストの足元付近にあります。

エアコンユニットの中には先程の冷房と暖房のシステムが一緒に入っています。

そして、温度調節はエアミックスダンパーで行います。

エアミックスダンパーは、温度調節レバー(ボタン)を操作すると動きます。

温度調節レバー(ボタン) 冷房MAX時

エバポレーターで冷やされた風が、熱くなったヒーターコアを通らないようにエアミックスダンパーで塞いでいます。


温度調節レバー(ボタン) 暖房MAX時

エバポレーターで冷やされた風が室内にいかないようにエアミックスダンパーで塞いでいます。

冷やされた風は熱くなったヒーターコアを通ることで暖かい風に変わります。


温度調節レバー(ボタン) 真ん中(25℃)時

エバポレーターで冷やされた風とヒーターコアで暖められた風が混ざります。

このように、人が温度調節レバー(ボタン)を操作すると、エアミックスダンパーが動いて最適な温度の風を出すようにしています。

まとめ

車のエアコンの仕組みはいかがでしたか?

少し内容が難しすぎたかもしれませんね。

車は私たちの身近な移動手段です。

いつも使っている車の構造を知るのも良い機会かもしれません。

しかし、エアコンの悪臭が「カビ」や「雑菌」というのはイヤですね。

次回は嫌な臭いを防ぐ方法など、まとめた記事を書きたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

元自動車整備士の豆知識は、シリーズ化しております。

こちらも見ていただけると嬉しいです。

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