車のエアコンはカーライフを快適にしてくれます。
夏は外気が40℃を超える中で車内を快適に冷やしてくれます。
冬は外気が0℃を下回る中で車内を快適に暖めてくれます。
車のエアコンは過酷な状況でも持ち主が快適になるように頑張っています。
もはやエアコン無しでは車の運転は出来ないぐらい重要です。
そんな頼りになるエアコンですが、たまに「ガッカリ」するぐらい臭いときありますよね。
あの臭いはどこからくるんでしょう?
あの臭いは何が原因なんでしょう?
僕はトヨタのディーラーで自動車整備士としておよそ30年間働いていました。
たくさんのお客様にエアコンの「悪臭」について説明してきました。
エアコンの内部構造
エアコンの部品は「外側のエンジンルーム」と「内側の室内」にあります。
「悪臭」の原因は室内にあるので、室内のエアコン部品について説明します。
エアコンは「エアコンディショナー」の略です。
車内の「温度」や「湿度」を調節するものです。
この「湿度」が臭いに関係してきそうですね。
エアコンの本体は「室内の足元中央」に存在します。
「エアコンユニット」と呼ばれるものです。
エアコンユニットの中には「エバポレーター」と呼ばれる部品が入っています。
エバポレーターは室内の空気を冷やすとともに「除湿」も行っています。
エアコンを使用しているときエバポレーターは室内の水分で「ベタベタ」になっています。
グラスに冷たい水を入れると、グラスの外側が濡れるのと同じです。
これが「除湿」の原理です。
夏場、車の下に水が落ちるのはエバポレーターに溜まった水を排出しているからなんです。
排出された水、これは室内の空気に混じっていた水分(湿度)です。
室内の空気をエバポレーターが「除湿」した証です。
異臭の原因
室内の空気を除湿するために、エバポレーターは常に「ベタベタ」になっています。
「カビ」や「雑菌」は湿度を好みます。
エアコンを使用している間は、「カビ」や「雑菌」は水と一緒に外に排出されます。
しかし、車を止めて時間を置くと水の排出は止まります。
ですが、エバポレーターは「ベタベタ」になったままです。
湿度がたっぷりのエバポレーターには、「カビ」や「雑菌」が喜んで繁殖を始めます。
それがエアコンを動かしたときの「悪臭」の原因です。
悪臭の予防策
これで「悪臭」の原因は理解できましたね。
それでは「悪臭」をどうしたら防ぐことができるのでしょうか?
エバポレーターに付く水を無くすことはできません。
無くすイコール「除湿」をやらないことになってしまいます。
①芳香剤で臭いを抑える
芳香剤は香りを楽しむものであって、悪臭を防いでいることになりません。
ただ単に、強い香りにごまかされているだけです。
置き型の「空間除菌消臭剤」などもありますが、単体では効果は薄いと個人的には感じています。
ですが、補助的な「除菌消臭」と考えるのであれば無駄ではないと思います。
こんな商品もあるので参考に紹介します。
②カビや雑菌が入りにくくする
車のエアコンにはフィルターが取り付けられています。
エアコンフィルターは、エアコンの空気の「取り入れ口」に取り付けられています。
空気中のゴミ「花粉」「黄砂」「pm2.5」「虫」などを除去する力は優れています。
しかし、エアコン本体への通路は「取り入れ口」だけではありません。
エアコンを使っていない時は「風の出口」も入り口になっています。
「カビ」や「雑菌」の胞子はどこからでも侵入してきます。
エアコンフィルターの「集じん効果」は高いと思います。
ですが、エアコンの空気の「取り入れ口」に限っての話です。
③エバポレーターを乾燥させる
エアコン使用後に「ベタベタ」になったエバポレーターを乾燥させます。
乾燥の方法は、
・A/Cボタンを「解除」して風量を最大にします。
・外気導入ボタンを押して「外気」が入るようにします。
※エバポレーター乾燥時に室内の湿度が高くなるので内気循環は避けましょう。
※風の吹き出し位置はどこでも良いです。
・窓を少し開けて室内の湿度を逃がします。
この方法でエバポレーターは乾燥します。
完全に乾燥させるには、およそ「1時間」はかかると思います。
「1時間」も送風で乾燥させるのは現実的ではありませんね。
④カビや雑菌の繁殖を抑える
エアコンを使用後、エバポレーターに除菌剤をスプレーする。
除菌剤はカー用品店で販売・施工しています。
自動車ディーラーでも販売・施工しています。
アマゾンや楽天でも販売しています。
ご自身で施工することも可能です。
施工方法は、3種類あります。
①エアコンフィルターを取り外して、エバポレーターに向けてスプレーをする。
②エアコン吹き出し口から、エバポレーターに向けてスプレーする。
③助手席足元付近にスプレーする。
①番の「エアコンフィルターを取り外してスプレー」は、少し難易度が高いのでプロに任せた方が良さそうです。
ご自身で行うのであれば、
②番の「エアコン吹き出し口からスプレー」と
③番の「助手席足元付近にスプレー」を併せて行うのがおすすめです。
施工の手順
まず、助手席足元付近にスプレーをします。
助手席足元付近にはエアコンの「吸い込み口」があります。
・A/Cボタンを解除して「送風」にします。
・「内気循環」にして「風量最大」にします。
・風の吹き出し口位置は、FACE(顔に風が当たる位置)にします。
・助手席「足元の奥」に数秒間スプレーします。
※スプレーはノズルの長さは関係なく「細かい霧状」になるものがベストです。
次に、エアコン吹き出し口からスプレーをします。
・送風を止めます。(エンジンを止めても良い)
・風の吹き出し口 FACE(顔に風が当たる位置)に数秒間スプレーします。
※スプレーはノズルが「長い」もので「細かい霧状」になるものがベストです。
これで直接ではないですが、エバポレーターに除菌剤が塗布できます。
なお、助手席足元のみを施工するのであれば家庭用のファブリーズでも代用できます。
僕自身は手軽な「ファブリーズ」や「リセッシュ」でやっています。
※エアコンにファブリーズなどを使うのは賛否両論あります。
※僕自身は何年も前からやっていますが、ご自身の判断でお願いします。
ですが、効果的なのは「助手席足元」と「吹き出し口」の両方です。
エアコン消臭スプレーは使い方によって様々な種類が販売されています。
種類があり過ぎて迷ってしまうと思います。
エバポレーターに直接吹きかけることが出来れば「粒子が荒く液状」の方が効果的です。
ですが、今回の方法では直接吹きかけることが出来ないので「細かい霧状」のものを選びます。
スプレーノズルが特殊な形状になっているので、非常に細かい霧状になります。
エアコンにファブリーズなどを使うのは賛否両論あります。
ご自身の判断でお願いします。最強のファブリーズです。(2021年6月現在)
まとめ
エアコンの「悪臭」については、いかがだったでしょうか?
悪臭は車に乗ったことがある人であれば、誰でも一度は経験したことがあると思います。
原因は「カビ」や「雑菌」なんです。
臭いと思った時には「カビ」や「雑菌」を吸い込んでいるということです。
考えるだけでも「イヤ」ですね。
こまめに除菌剤をスプレーしてカーライフを快適にしましょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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こちらも見ていただけると嬉しいです。
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