車のエンジンオイルってなに?なんで交換が必要?どんなオイルがいいの?元自動車整備士の豆知識(part 3)

車のメンテナンスにエンジンオイル交換は付きものです。

エンジンオイルを交換しないといけないことは知っていると思います。

では、なぜ交換しないといけないのでしょうか?

エンジンオイルは車にとって非常に大切な役割を持っています。

僕はトヨタのディーラーで自動車整備士としておよそ30年間働いていました。

たくさんのお客様にエンジンオイルの重要性を伝えてきました。

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エンジンオイルってなに?

エンジンオイルとは車のエンジンに使われている潤滑油です。

エンジンを動かすために大変重要な役割を果たしています。

エンジンを構成している部品の数は1万個を超えると言われています。

その1万個を超える部品が絶えず動いています。

金属同士がこすれ合っている部分もたくさんあります。

エンジンの内部ではガソリンによって大爆発が起きているんです。

エンジンオイルがなければ、エンジンは一瞬で破壊されます。

そんな過酷な状況を助けているのがエンジンオイルです。

エンジンオイルは下に溜まっています。 ポンプでくみ上げられた後は、下に向かって流れながらエンジンを潤滑します。

エンジンを分解した写真です。

普段目にすることは一切ないエンジン内部の部品です。

分解した一部分だけでもたくさんの金属部品が使われているのが分かりますね。

エンジンオイルはこの部品達が壊れないように助けているんです。

エンジンオイルの役割

エンジンオイルはエンジン内部の部品を保護しています。

では、エンジンオイルに求められる役割はどんなものでしょうか。

潤滑作用

金属部品同士の摩擦を減らして滑らかに動くようにする。


密封作用

金属部品同士の隙間を埋めてエンジンの爆発力を逃がさないようにする。


冷却作用

エンジン内部で爆発による熱が発生しているので余分な熱を吸収する。


洗浄作用

エンジン内部の汚れをオイルが包み込むことで内部をキレイに保つ。


防錆作用

金属部品の表面にオイル皮膜を作り錆びないようにする。

この5つの役割でエンジンを保護して、エンジンが最大限の力を出せるようにしています。

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エンジンオイルの種類

エンジンオイルは非常に多くの種類があります。

大きく分けると以下の3つに分けられます。

オイルの製法による違い

オイルの粘度規格による違い

オイルの品質規格による違い

この代表的な3つの意味を見ていきましょう。

①オイルの製法による違い

エンジンオイルは、「ベースオイル」と「添加剤」で作られています。

「ベースオイル」がエンジンオイルの大部分を占めています。

オイルメーカーはベースオイルに「独自の添加材」を加えて他社との差をつけています。

「ベースオイル」には3つ種類があります。

3つのベースオイルの特徴を見ていきましょう。

①鉱物油

原油から不純物を取り除いて精製されたもの。

価格は安いが、劣化が早くエンジン内部が汚れやすい。

②部分合成油

鉱物油と化学合成油を混ぜ合わせたもの。

エンジンオイルとしての基本性能は備えているが化学合成油と比べると劣る。

③化学合成油(全合成油)

人の手で化学的に合成して作られたもの。

最も高性能なエンジンオイルである。

価格が5千円~数万円と高い。

このように原油からただ精製したもの、科学的に作り上げたもの、その両方を混ぜ合わせたもの。

エンジンオイルと言っても作り方によって色々な種類があるんです。

アドバイス

鉱物油は価格が安いですが、エンジン内部が汚れてしまうのでおすすめ出来ません。

部分合成油は結局のところ鉱物油が混じっているので余りおすすめではありません。

100%化学合成油(全合成油)がおすすめです。

化学合成油は5千円ぐらいから数万円と価格差があります。

レースなどの過酷な使用状況でない限り、5千円ぐらいのもので良いと個人的には思っています。

②オイルの粘度規格による違い

エンジンオイルには「0W-20」や「5W-30」と表記されています。

これはエンジンオイルの粘度(硬さ)を表しています。

エンジンオイルは粘り気があります。これを粘度と呼びます。

この粘度でエンジンを保護しています。

しかし粘度が高過ぎるとそれが抵抗になってエンジンの負担になってしまいます。

低温時と高温時のバランスが必要です。

車の使い方によって粘度を変えると、より良くなることがあります。

例えば、10W-30が入っているエンジンに5W-40を入れるとします。

そうすると低温時の粘度が低いので始動性が良くなります。

そして高温時の粘度は高いので油膜切れが起きにくいということになります。

アドバイス

むやみに粘度を下げてしまうとエンジンが壊れてしまうこともあります。

エンジンには使用範囲が決められているので取扱説明書を確認してからにしましょう。

【参考】トヨタプリウスの取扱説明書です。

③オイルの品質規格による違い

エンジンオイルのグレードを表す規格です。

この規格は一定の品質を保つために存在していて国や地域によって規格があります。

一つのオイルで複数の規格から認定されているものもあります。

たとえば、トヨタ純正オイル(0W-20)の場合。

API規格とILSAC規格の2つから認定されています。

代表的な4つの規格を紹介します。

①API規格

アメリカ石油協会が定めた規格で「SP」「SN」「SM」などで表記されます。


②ILSAC規格

国際潤滑油標準化認証委員会が定めた規格で「GF-6」「GF-5」「GF-4」などで表記されます。


③ACEA規格

欧州自動車工業会が定めた規格で「A5」「A4」「A3」などで表記されます。


④JASO規格

日本自動車規格が定めた規格で「M364」などで表記されます。

アドバイス

大手オイルメーカーが発売しているものであれば必ず規格の認定を受けたものなので、あまり深く考えなくても良いと個人的には思います。

ですが、新規格の認定を受けた商品の方が性能に優れているので、出来るだけ新しい規格のものを選ぶと良いと思います。

例えばAPI規格だと「SP」 ILSAC規格だと「GF-6」が2020年に新しく制定されました。

先程のトヨタ純正オイルは「SN」「GF-5」なので、ひとつ前の規格から認定されていることになります。

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エンジンオイルの選び方

これで、エンジンオイルの役割や種類が理解できたと思います。

ですが、自分の車は何を入れたらいいの? …となりますよね。

エンジンオイルは認知度が高い商品ですが、奥が深いので理解するのが大変です。

一番のおすすめは、お乗りになっている車のメーカーが発売している純正エンジンオイルです。

特に拘りがない限りは、ディーラーのメカニックにお任せするのが間違いないです。

アドバイス

ガソリンスタンドやカー用品店でのオイル交換は信頼できるお店であれば問題ないです。

しかし、メカニックの知識に差があるので個人的にはあまりお勧めできません。

なかには、拘って自分で決めてみたいという方もいると思います。

まずは取扱説明書を確認して自分の車にあった規格を調べましょう。

そして規格にあったもので高品質のエンジンオイルを選ぶと良いです。

高品質エンジンオイルといえば、

・純正品のエンジンオイル

・ワコーズのエンジンオイル

・カストロールのエンジンオイル

・モービル 1 のエンジンオイル

この辺りのものを選べば間違いなく高性能です。

個人的には価格は高くなりますが「モービル 1」が優れていると感じています。

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まとめ

エンジンオイルの解説はいかがでしたか?

エンジンオイルは大抵の方がご存じだと思います。

しかし掘り下げて調べてみると奥が深くて少し難しかったかもしれません。

あまり難しく考えずに、車の専門家であるプロに任せるのも良いと思います。

拘ってご自身で決めるのであれば、化学合成油(全合成油)、取扱説明書で規格を調べる。

この2点を抑えれば問題ないです。

あとはオイルメーカーを決めるだけです。

どちらにしても、せっかくご自身と出会った車。

大切な仲間だと思って可愛がってあげてください。

最後までお読みいただきありがとうございます。

元自動車整備士の豆知識はシリーズ化しています。

こちらも見ていただけると嬉しいです。

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